昔の人がそうしたように,絵画によって人の感性を揺さぶろうとするのがこの人が絵を書く理由の一つだそうだ.ほとんどの絵は顔面かバストアップ,あるいは裸の全身像で常に人物が描かれている.笑顔は皆無で,アルカイックスマイルがせいぜい,あとは思慮に沈んでぼんやりしていたり,遠くを見て少ししかめていたり,つくらない表情がほとんど.写実的ではなく,顔形は適当だったり,顔のパーツはデフォルメされていたりする.でも表情がかなりリアルでこの表情に心が揺れる.そういえばマサトに言われた.「邪悪は凡庸である」私の母に似ていると.わたしはすぐ否定したけど,そうかもしれないと思った.モデルはたぶんマルレーネ・デュマス本人じゃないかな.企画展のブロークンホワイトというタイトルが気に入っていた.アラーキーの写真をモデルに描いた作品のタイトルだった.

ギャラリー小柳でも今マルレーネ・デュマス展をやっているようだ.こちらはより死があるようだ.


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