若手(emerging)アーティストを応援する MAM PROJECT の最新版は ジョン・ウッド&ポール・ハリソンによる映像作品群.体を張った滑稽な作品や,目の錯覚や人の思い込みを利用したようなちょっと不思議で科学的な,あるいはピタゴラスイッチ的な実験作品などがあります.内覧会のレセプションにアーティストがいらしたのですが,昨年一年間で作成した映像のトータル時間が30分だそうで,今年はMAM PROJECTのために約1分の映像を作成したので,残り後29分を作らないとと冗談めかして話していたのが印象的.
1%は白いお手玉を一個上に放り投げてキャッチするのをひたすら繰り返す手の映像.上に放り投げたお手玉は一瞬画面から外れておちてくるのですが,実は色が1%だけかわっていて徐々に黒くなっていき,また白に戻るという作品.色の変化はしばらく見ていないと気づかないのです.あるいは,テーブルの足にペンキを塗って引きずってみるとか.生きるためには全く知らなくてもいいようなふとした疑問を実験してみるのですが,その実験のimplementationのクオリティが高いのがアートなのです,きっと.
映像作品ですが,地面に埋め込まれた大型ディスプレイやすごく小さな壁埋め込みディスプレイがあったりして,インスタレーションっぽく展示されているのもまた楽しいです.

MAMプロジェクトの過去の展示情報が森美術館のページにアーカイブされていますが,前回のチェ・ウラムの作品もとても面白いです.ビデオは必見.


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淺井裕介@BankART 桜荘 Landmark Project II



ランドマークプロジェクト2の展示会場の一つである,黄金町のBankART 桜荘の展示を見に行ってきました.桜荘はかつて売春宿を改修して芸術と地域発展の拠点にした建物で一階はオープンスペース,二階はアーティストのレジデンスとして利用されています.その桜荘に現在住み込んでいるアーティストの一人が浅井祐介さんです.彼の作品は一階の天井に張り巡らされた正方形のアクリル板に描いた花と動物の絵.天井自体はみかんぐみのお弟子さんが制作したものだそうですが,浅井さん曰く「ちょっとおしゃれすぎる感じだった」ので絵を描いたそうです.
私が行ったときは,3月頭に期間限定で開くちかいカフェの準備中だったらしく,ちかいさん他が作業をしていました.そのちかいさんがお茶とお菓子を振る舞ってくれたりして,天井に浅井さんの絵をみつつほのぼのした音楽(と浅井さんの鼻歌)が流れる中,ぼんやりと過ごすのもなかなかすてきなものだと思いました.
桜荘のすぐ近くには警察官の詰め所があって,桜荘の前を数分おきに警察官が通っています.いっぽうで桜荘のすぐ隣のスペースはやくざの駐車場.浅井さんはどちらとも顔なじみらしいのですが,社会的に正反対な立場にある人たちの中間にアーティストが立つというのは,オルタナティブなアートスペースならでは現象で面白いです.
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[Event] レイモン・サヴィニャック原画展

レイモン・サヴィニャック
書類が山のように積み上がっている某T先生のオフィスから発掘された1999年のシャトー・ムートン・ロートシルトを飲みました.T先生がいろいろとワインについての講釈を垂れたくなるほどの良いワインらしいのですが,確かに赤ワインをおいしいと初めて思いました.このワインのラベルは毎年,時のアーティストに依頼されてつくられているもので,1999年はレイモン・サヴィニャックのかわいい羊の絵です.このワインがきっかけで,現在開催中のレイモン・サヴィニャックの原画展に行ってきました.

代官山の"ギャラリーのような場所"(g)の小さな一室に展示されている絵はほとんどが広告のポスターの原画です.どこかで目にしたことがあるような絵がたくさんありました.とてもかわいらしくて,微笑ましく,ハッピーになる絵です.原画は購入もできます.気軽には買えませんが.
2月10日(土)〜3月11日(日)12:00〜19:00 月曜日はお休み
入場無料
(g)にて

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