東京近代美術館にて公開中の重要文化財,横山大観の生々流転を見てきました.
横山大観の作品
http://farm1.static.flickr.com/152/348857805_7f95fa6294_m.jpg
[生々流転]は全長40メートルの長大な絵巻です.霧や岩からしみ出した水滴が小さな小川になり,やがて渓流になり大きな川になり,山沿いや町沿いを流れ,最後には大海に流れ出ていきます.霧深い山々の雰囲気や,小川や渓流の流れの緩急の表現,緩やかに流れる大河に激しく荒れ狂う海など水の表現が非常に繊細で多様です.また,水とともにある生命の描写がほほえましく楽しいです.鹿や旅人,猿に白鷺,筏を漕ぐ男たちや海沿いで網を引く村人たちなど.松林と熊笹の描写が山の風景には多く見られるのですが,松の葉の濃淡によって表される遠近感や熊笹の葉が一枚一枚丁寧に描かれていて感動します.水墨によるグラデーションが非常に美しいです.40mもあるとまさに大作といった感じで,日本画の技術的にも面白いものらしいので見られてよかったです.
[観音]は高貴なお顔つきの観音様の絵です.両足を地につけ岩に腰掛け,片手は膝の上,片手は手のひらを上に向けて腿の上へおいている様は非常に優雅,肉厚で小さな唇といまいち視点の定まらない目線は美しいです.[南溟の夜]は師である岡倉天心が日本美術院を設立した地,茨城県の五浦海岸の海だそうです.淡い青緑色の空に輝く星,かたや茫洋とした雲らしきものがあります.空はいつの間にか海に混じり,波は浸食された岸壁にぶつかり白いしぶきを上げています.


所蔵作品展
印象的なのは,菱田春草[雀に鴉],岸田劉生[五福祥集],徳岡神泉[芥子],ベー、ビョンウ[松シリーズB] など...全部見きれなかったので,また行きたいと思います.

Related Links

0 comments:

top