[Event] ヴィオラ・チューズデイ

森美術館のヴィオラ・チューズデイというプログラムに参加しました.はつゆめ展では見ることのできない作品[はつゆめ]を鑑賞しビオラ作品の解説を聞くプログラムです.私は第3回のICCの学芸員の畠中実さんの回に参加しました.
はつゆめ
はつゆめ
はつゆめはビオラがSONYのプログラム,アーティスト・イン・レジデンスで日本に滞在中の1981年に完成しました.作品は日本の様々な風景を撮影したシングルチャネルです.ちなみにシングルチャネルとは,単一の画面で再生するように作成されたビデオ作品のことだそうです.車のフロントガラスから撮影した夜の東京の風景やホタルイカの漁,灯籠流しや,竹やぶの風景,恐山,置き石を中心に撮影した遠近感の狂った画など様々.ストーリーなどはなく散文的な映像の集合です.とくに海の上のホタルイカ漁の船を海岸から撮影した映像では,寄せる波がカメラの視界をちょうど遮るような高さに設置されており,暗闇の海を煌々と照らす船が波で隠れるとその光が残像としてぼんやりと残り幻想的で美しいです.

ビル・ヴィオラの作品解説など
ラフト
畠中さんによると,当時のビデオカメラで撮影すると光が残ってしまうのは技術的にどうしようもないことなのだそうです.そこを逆手に利用して美しい映像をつくるヴィオラはヴィデオ・アーティストとしてすごいという話をしていました.最近ではプラズマや液晶のディスプレイを利用した高精細で動きの少ない絵画のようなインスタレーション作品を作っているのですが,これらはHDの高フレームレートのカメラで撮影した映像をスローモーションで再生します.最先端の技術を駆使して今までみたことないようなものを作ることで生まれる作品のインパクトは,確かに技術に精通していなければ実現できないのです.また,サウンド・アーティストとしても活躍していた経歴を持つヴィオラは,映像作品においてサウンドを効果的に利用しています.サラウンドで見る[ラフト/漂流] や[クロッシング],[ミレニアムの五天使]の水しぶきや炎の轟音は映像の迫力を強め,静と動を明確に表現しています.この会の質疑で聴覚障害の方が「ヴィオラ作品で音はどのように利用されているか?」というような質問をされていたのですが,この質問がヴィオラ作品のサウンドのすごさをあらためて気づかせてくれました.

失敗
予感はしていましたが,[はつゆめ]の上映中にマイクロスリープを採ってしまいました.睡眠不足が続いていたので危険だとはおもってましたが,案の定.そんな自分にがっかりです.もう一度見たいなあと思っていたら,ICCで12/24にやるのだそう.でも,行けないなぁ.ICCと言えば,解説の畠中実さんが企画した「八谷和彦 - OpenSky 2.0」という展示がICCで開催中だそうです.こちらも面白そう!

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