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MUSEUM OF TRABVEL(略してMOT) という組織が主催するキャンプ というイベントに参加してきました.キャンプでは社会学や美術,建築や都市研究等分野の若い研究者や社会人の講演と参加者のディスカッションがメインなイベントです.今回で7回目のイベントで過去のイベントのテーマをみると結構幅広くて興味深いです.MOTのwebではこのように紹介されています.MOTのプロジェクトのテーマは「違った見方との出会い」です。
旅に出て、日常から遠ざかるにつれ、普段の自分にとってありふれたものが、
まるで初めて見るもののように見えてくる、
そんな経験を誰もが一度はしたことがあるのではないでしょうか。
MOTではミュージアムをツールとして、
展示だけではなくイベント、パーティー、ショップ、カフェなど
様々な角度から「違った見方との出会い」の提示を試みます。
(MOTのWEBより引用)
今回は,インディペンデントキュレータをしながら某印刷会社で美術館などのイベント事業に関わっている内山悠一さんがニューヨークでの留学経験をもとにミュージアムビジネスの現状について講演されました.MOMA,Met,Public Art Fund, Creative Time, Flux Factory などNYの美術館や財団,NPOの紹介と各組織の資金調達方法,日本の美術館運営の現状と事例紹介など.アート・マネジメント系の本でよく語られる日米の美術館の運営方法,資金源の違いやファンドレージングなどなどを,NYでの最新情報を交えて話が聞けるというのはとても良かったです.
日本の場合は美術館の収入は入場料と地方自治体からの交付金に頼りがちになってしまうので,人気のあるコンテンツしか展示ができないというような話とか,AANでも一つの大きな問題としてとらえている日本のアートNPOのファンドレージングについての問題を参加者で共有し議論できる,というのは意義がありました.
ところで,セッション後の懇親会でMOTの鈴木さん(ロシアの視覚芸術の研究で博士課程在籍中)とAANの嘉藤さんがタルコフスキーの映画について熱く語っていたのが印象的.MOTが標榜する「違った見方との出会い」というのがいろんな側面で体験できてかなり満足でした.
ところで,MOTのメンバーがおすすめについて語る reviews はこちらもかなりマニアックで思わず読みすすめてしまいます.
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吉野さんのお誘いで21_21 DESIGN SIGHT のチョコレート展に行ってきました.21_21 DESIGN SIGHT は 「デザインのためのリサーチセンター」ということで,ミュージアムとは少しおもむきが異なっています.安藤忠雄による建物は地上一階と地下一階の二階建てで,外からは大きな屋根が見えています.真ん中が天井のない空間になっていて,今回の展示ではチョコレートのアスファルトで塗り固められていました.
チョコレート展は深澤直人ディレクションの企画展で,誰もが大好きなチョコレートを題材に,チョコレートから世界を見てみようというものです.展示は,チョコレートをモチーフにしたデザインやチョコレートでできたオブジェ,パラドキシカルなものから直球なものまでいろいろ.チョコレートはやっぱりみんなが好きなものだから遊びの要素が大きくて,リラックスして楽しく見るという雰囲気.デザインが主体なので,森永や不二家,その他食品メーカーとの協同作品も多数ありました.そんな中印象的なのは,James Mollison の "Cacao Pickers"という数少ないシリアスな写真作品.カカオの栽培に従事するコートジボワールの人々の写真を大きなパネルで展示したもので,チョコレートは高価すぎて買うこともできないのだというコメントが印象的.あとは岩井俊雄のモルフォチョコ.巨大なチョコレートが高速回転していて,上からプロジェクターで投影された像によって残像が発生し,固形のチョコがグニャグニャに歪んでいくように見えるのがびっくりします.チョコレートの可塑的な特徴を捉えて表現しているのでしょうか.そういえば,いただいたチョコレートは家に帰ったら溶けてぺちゃんこになっていました.Related Links