光 松本陽子/野口里佳 @国立新美術館

国立新美術館に初めていってきた。光というテーマで、松本陽子さんという画家と野口里佳さんという写真家のそれぞれの個展を同時開催する体裁。

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どちらの作家さんの作品も現代美術の企画展示などで見かけたことがありましたが、個展として作家さんと向き合う展示というのはまたちがった形で楽しめました。

わたしは特に野口里佳さんの写真が気に入りました。[フジヤマ]という一連の作品群で始まります。フジヤマっていう名前から最初は富士山の遠景からの全体像を想像したんだけど、主な写真は山頂近く?の砂利の地肌と空と登山をしている人。ここが果たして富士山なのかどうかも不明です。ですが、空と空を斜めに切り取る砂利の肌の構図が好きです。山を登る人があったり、立派な雲があったりでいろいろ。富士山といえば、あの均整の取れた姿形から日本人の心の拠り所となるような存在でもあるのですが、そんなイメージとは全く異なる写真でありながらも作品からは富士山のパワーと共通するものをなんとなく感じるのでした。

次に、[星の色]。海底遺跡の写真に見えるんだけど、深緑色の遺跡と海がとても美しいです。写真によっては銀色の泡沫があり、それまた美しい。

そして、[太陽]のシリーズ。ピンホールで撮影した太陽の光が印象的な作品群です。この作品に関しては作家本人の解説ビデオを発見しました。1年前くらいに Carnegie Museum of Art で life on marsというイベントがあったらしいのですが、そこでのコメントです。



最近のデジカメなんかを使えば写真を撮ったらその場で確認できるようになっていて便利なんだけど、ピンホールはそれができない。かわりにできることは、どんな絵が出来上がるかを想像してカメラを信じること。想像して信じる、それしかできないんだ、という言葉が心に残りました。

「光」 では他にも鳥の写真 [マラブ]、[砂漠にて]など、面白い作品がたくさんありました。

松本陽子さんの作品はピンクのアクリル絵画が有名です。展示では黒や緑など他にもいろいろありましたが、やっぱりピンクの雲みたいな作品がたくさん。抽象画はどうにも解釈できないんですけど、私の場合この作品はなんとなく見てて気持ち悪くなります。生理的なものに訴えるような作用があるのかも。マーク・ロスコみたいなのは見てて落ち着くので、単純に曲線や雲みたいな形状がだめなのかもしれません。あとは色の影響は強くあると思います。

光をテーマにした二人展ということでふらりと行ってみたらとても楽しかったので国立新美術館の現代アートの展示に期待したいと思います。
それにしても、国立新美術館のトップページがSafariでレイアウト崩れてるのはなんとかした方がいいと思う。

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6月に北欧旅行に行ったときにデンマークで訪れた王立図書館の展示スペースでたまたま行われていたのが、"A Building is not a Building" でした。

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北欧旅行で月曜日にコペンハーゲンへ訪れたのですが、なんと月曜日はほとんどの公共施設がお休み。現代美術館や武器博物館など行きたかったんですが、そんな計画はもろくも崩れ去りました。そんななか、営業中の王立図書館に行ってみたらたまたまこの展示が行われていたので行ってきたのでした。そんなに広くもなく、大判の写真展示が10個くらいあったと思います。

タイトルにある通りこの写真たちはすべて建築物を撮影したものらしいのですが、建築全体はどこにも写っていません。建築の一部のミニマルなパターンを写した抽象的なパターンばっかりでだいたいなんの写真かわかりません。なのですが、カラーや光沢のある素材の美しさ、そして縦横2mくらいあるような大判ばかりで圧倒されるので見ていて楽しいです。Ola Kolehmainenのポートフォリオも楽しいのでぜひ見てください。以下は展示のカタログの製作に関する工程を紹介しつつ展示紹介するビデオですが、アーティストであると同時にプロフェッショナルとして完璧主義なこだわりが紹介されています。あのカラーもかなりのこだわりによって生み出されたものだと納得しました。








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